子どもの矯正治療の必要性

なぜ、矯正治療をしたほうがよいのでしょうか。
【子どもの矯正治療の必要性】について考えてみましょう。

1.見た目のコンプレックス

良くない歯並びがコンプレックスとなり、大きく口を開けて笑えなかったり、積極性を阻害することが考えられます。

意識の差はありますが、子どもでも大人と同じように見た目を気にします。出っ歯や受け口を他の人にわからないようにあごを出したり引いたりして隠し、気づかれないように子どもなりに気を使っているようです。

でこぼこ(叢生)が強い子は、見えないようになるべく大きな口を開けて笑わないようにしたり、意図的だったり無意識だったりしますが、努力をしています。

子どもも大人同様コンプレックスになっているのです。その点を親御さまが気づいてあげることが大切です。

親が「いいよいいよ歯並びなんて治さなくても大丈夫だから」と言ってしまえば、子どもは何も言えなくなってしまいます。
その点では、子どもは親に対して従順ですので、親御さまがお子さまの将来を含めて、どのように考えるかが重要になるということです。

2.虫歯や歯周病になるリスクが高い

歯並びが悪いと歯磨きがしづらく、虫歯や大人になってから歯周病のリスクが上がります。

でこぼこ(叢生)が多い場合は、歯が磨きにくく、ケアが難しくなります。

子どもからすると歯周病(病態が歯槽骨まで波及)は将来的なものですが、若くても歯肉炎(歯肉の悪化)にはなります。テレビコマーシャルで、「歯周ポケットをケアしましょう」とか「歯周病に効く要素が入っています」とか情報はあるにもかかわらず、歯周病について正しく知っている方は以外と少ないというデータもあります。

また大人になり歯周病が進行すると歯を支えている骨(歯槽骨)が吸収し短くなります。歯槽骨は吸収すると元の長さに回復しません。

歯並びをきれいにして、歯に対する意識を高く持つことや普段の歯の清掃がきちんと行える状態を作ることは、将来的にメリットが大きいと考えられます。

3.口呼吸

出っ歯や受け口、開咬の子どもは、舌の位置が悪く、口呼吸(虫歯や口臭の原因、免疫力の低下)になったりスムーズな発音がしづらくなっていることが多く見受けられます。

口呼吸の場合、常に口が開いているため口の中が乾燥し、殺菌効果のある唾液が口腔内に行きとどかず、細菌が繁殖しやすく虫歯や口臭の原因になります。

またいつも口が開いているとたくさんの色々な菌を受け入れてしまうので免疫力が低下してしまい、風邪をひきやすかったりします。

咬み合わせを考えた場合、一番良くないと考えられるのは、口がいつも開いていることで顎の成長、顔の筋肉や骨格にも影響するため、さらに歯並びが悪くなる恐れがあるということです。

4.噛めない

きちんと噛み合わせることができていない場合、食べ物をよく噛めない、または噛めないために食が細くなる傾向があります。

開咬(咬んだ状態でも上と下の歯に隙間があいている)だと、前歯で物を噛みきることができないため、小さく切らないとものが食べれません。また、過蓋咬合(上の歯が下の歯を覆っている)も、下顎の動きが規制されてしまうので噛むのが不得意な咬み合わせです。

身体を作る成長期にこのような状態である場合、大人になるために必要な要素を取り入れることが十分でない可能性もでてくるため、子どもにとっては必ずしも良い状態とは言えません。

5.姿勢が悪い、頭痛や肩こりの原因

よく噛めなくなるとあごや首、肩の筋肉バランスが崩れて子どもでも頭痛や肩こりの原因になったり姿勢が悪くなったりします。

またいつも口が開いていると、鼻の周りと頬骨周辺の発育が悪くだんだんと扁平な顔立ちになっていきます。

口呼吸をするためには舌は下に下がっていなければいけないため、舌を上に持ち上げたり唇を閉じるたりする筋肉の筋力が低下し、猫背だったり姿勢が良くない傾向があります。

言い換えると姿勢が悪い場合、鼻呼吸で十分呼吸ができないため、おのずと口呼吸になり不正咬合が悪化していくという悪循環が起こります。

細かい要素を考えるとその他にも色々とありますが、おおよそこのようなことから矯正治療をした方が良いと理由づけられます。

悪い歯並びやお口の状態が悪い場合、自然に治るということはありませんので特に子どもの場合は、親御さまが気づいてあげられることが最も重要です。