小学校中学年(小2・写真①)の男子、受け口と凸凹を近医で大人の歯になってから抜歯して治しましょうと説明を受けた症例を抜歯を回避して治せるようにした症例

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治療前①小2 8Y8m:初診

治療中(8y9m~・治療スタートは小3)
➁小3 8y10m:JUMP(QH+バイトプレート:写真④参照)

治療中③小3 9y5m:左上2の生え変わり待ちの間にスペースの確保

治療中④小3 9y8m:左上2が受け口で生え変わったためQHとバイトプレートで治療

治療後⑤小4 10y3m:左上2 JUMP、ブラケットで前歯を並べなおしと成長期治療終了時、受け口を改善し上顎前歯を並べなおしで下顎前歯の凸凹が自然に改善 

はじめのご相談

初診時小2(写真①)、凸凹が気になり近医を受診したが生え変わってから抜歯して治すといわれたので、今できることがないか、抜歯しないで治せないか見てほしい。

カウンセリング・診断結果

受け口は、上顎の骨格的な前方向の成長を阻害し下顎が前へ強く成長していくため、顔立ちがコンケーブ(三日月状)へ変化し、骨格的な受け口が強くなるほど永久歯の咬合治療が難しくなるため、当院は受け口は早期に改善し、再発や悪化を予防する考えで治療を進める説明を行い、ご理解いただけたので精密検査を行いました。
検査の結果、上顎骨がさがっていて、下顎骨が大きい骨格的な下顎前突(受け口)で、左側上の前歯がベロ側に強く傾斜している骨格的にも歯のポジション的にも複合した反対咬合となっていました。
機能的には気道の狭窄があるため鼻呼吸が苦手なタイプで、口呼吸主体で低位舌になっていて、下顎骨を前に強く成長させる原因になることが考えられます。顔立ちは現在コンケーブ(三日月状の横顔)にはなっていませんが、受け口の悪化によりコンケーブへの変化が考えられます。
強い骨格的な受け口へ移行しないように、早期に受け口を改善し、悪化予防を行うご提案をしました。

行ったご提案・診断内容

成長期に行う治療と咬合治療をご提案しました。
左前歯の受け口を改善する装置と、改善後はモノブロックシステム(筋機能的咬合誘導治療)へ移行し、受け口の再発予防、永久歯をできるだけ咬ませる治療を提案しました。                         

成長期治療(成長時期にお口の環境を整える治療)
*受け口を改善し、併行して舌機能などの機能回復(MFT)を行い再発予防をする治療方針で進めます(写真②③④)。
・MFT:舌や口唇などが正しい動きやポジショニングで機能し、鼻で呼吸できるようにする練習で、毎日おうちで練習します。8の拡大(受け口と大きさの改善)と受け口の再発予防の目的で下記装置を使用しました。
QH:上顎の裏側につける装置で、上顎歯列の形を修正(拡大)する装置(写真④)
バイトプレート:上下前歯が重ならないようにして上の前歯を前に出しやすくする装置(写真④)
ブラケット:ワイヤーを装着し、上の前歯4本をきれいに並べる装置(写真⑤)
リテーナー:動かした歯を維持させる装置
CLⅢ用装置:下顎の成長が強いと受け口の再発になるため、必要により下顎成長方向のコントロールを行う装置予定です

*この症例では左上2番目の歯の生え変わりが遅くまた、受け口で生えてきたため改善に多少時間がかかりました(写真④)
*この症例では、上の前歯の改善とともに下の前歯が改善したため、下は装置を使用しませんでした

・経過観察
受け口の改善後は、歯並びを維持するリテーナーと必要によりCLⅢ用装置の使用で受け口の再発予防を継続予定で、希望により咬合治療用モノブロック装置へ移行します。

治療期間

16か月:小3~小4(成長期治療の動的治療期間:写真②~⑤)
現在、成長の経過観察中

おおよその費用 成長期治療:42万+TAX
治療のリスクについて

受け口の治療後は、下あごの成長が強いと成長とともに咬み合わせが徐々に受け口へ戻ることがあるため、成長が落ち着くまでは、定期的な経過観察と適切な成長コントロールを行います。
受け口の再発、咬み合わせが不十分な場合は、成長が落ち着いた後にマルチブラケット法で永久歯をしっかり咬ませます。
凸凹(でこぼこ)や口元の突出が残る場合は、抜歯治療へ移行します。
その他、矯正治療に伴うリスクとして、歯ブラシ不足による虫歯・歯周病、装置による違和感・痛み、口内炎、話しにくい・食べにくい、歯肉退縮、歯髄壊死、歯根吸収、顎関節症の悪化などがあります。