幼児(年長・6y1m)の女の子 上顎前歯が後方(口蓋側)へ傾斜している受け口を(下顎前突)を筋機能的矯正装置で改善し、モノブロック(筋機能的咬合誘導)装置へ移行した症例

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①年長 6y1m:初診
*6y2m筋機能的矯正装置スタート
*口元はコンケーブへ移行中

➁年長 6y3m:JUMP 受け口改善

③小3 8y2m:筋機能的矯正装置で経過観察し、前歯が生え変わったところで拡大、前歯の並べ替えへ移行
口元のコンケーブも改善

④小4 9y4m:前歯の並べ替えまで終了しモノブロック装置へ移行*咬合誘導、成長の経過観察中

⑤今後、必要によりCLⅢ顎間ゴムを追加し予定

はじめのご相談 前歯が受け口で生え変わってきたので診てほしい。
カウンセリング・診断結果 上の前歯が後方(口蓋側)へ傾斜しているタイプの受け口です。
上下顎骨の前後的な位置関係は現在問題ありません。上顎骨に対し下顎骨が若干大きいタイプです。
舌のポジションが悪く、今後受け口を助長する可能性があります。
低年齢ですが中顔面(鼻、上顎部)が引っ込んで下顎が出ているコンケーブ(三日月状)へ移行中です。
受け口は、上顎骨の骨格的な前方向の成長を阻害し下顎が前へ強く成長していくため、骨格的な受け口へ移行し、顔立ちもコンケーブが強くなります。
骨格的な受け口が強くなると永久歯の咬合治療が難しくなり、症例によっては外科的な治療が必要になることがあるため、受け口は早期に改善し骨格的な悪化を予防する説明をしました。
行ったご提案・診断内容 成長期に行う治療と咬合治療をご提案
受け口用筋機能的矯正装置からスタートし、小2以降で上下顎の拡大(奥歯の幅の調整、受け口の改善)を行いその後、モノブロック(筋機能的咬合誘導)装置へ移行し、受け口の再発予防と永久歯を適切な咬み合わせに誘導し、必要によりマルチブラケット法へ移行する治療方法を提案しました。

成長期治療(成長時期にお口の環境を整える治療)
・受け口を改善し、併行して舌機能などの機能回復(*MFT)を行い再発予防をする治療方針で進めます(写真①~⑤)
*MFT:舌や口唇などが正しい動きやポジショニングで機能し、鼻で呼吸できるようにする練習、毎日おうちで練習します。
・以下の装置を提案しました
成長期受け口用モノブロック装置:就寝時に使用する装置、受け口の改善と正しい舌位の獲得効果があります。

2年生以降~
QH:上顎の裏側につける装置で、上顎歯列の大きさと形態を修正(前方と側方拡大)する装置
BH:下顎の裏側につける装置で、下顎歯列の大きさと形態を修正(前方と側方拡大)する装置
バイトプレート:上下の前歯が重ならないようにし、受け口を治しやすくする装置で受け口の改善まで使用
ブラケット:ワイヤーを装着し、前歯をきれいに並べる装置(写真③)
CLⅢ用装置:下顎の成長が強く出ると受け口が再発するため、下顎成長方向のコントロールを行う装置

咬合治療
・モノブロック(筋機能的咬合誘導)装置を先行:永久歯の咬合誘導と受け口の再発予防を行う就寝時に使用する装置(写真④⑤)
顎間ゴムと併用
・マルチブラケット法:モノブロック装置後、必要によりマルチブラケット法で咬み合わせを整えます

治療期間 ~8y2m:受け口用モノブロック装置
12カ月:成長期治療の動的治療期間:(写真③)
現在、成長の経過観察と咬合誘導中です。(写真④⑤)
おおよその費用 88万円+TAX(マルチブラケット法へ移行する場合は11万円+TAX加算)
治療のリスクについて 受け口の治療後は、下あごの成長が強いと成長とともに咬み合わせが徐々に受け口へ戻ることがあるため、成長が落ち着くまで定期的な経過観察と適切な成長コントロールを行います。
受け口の再発や咬み合わせが不十分な場合は、成長が落ち着いた後にマルチブラケット法で永久歯をしっかり咬ませます。
凸凹(でこぼこ)や口元の突出が残る場合は、抜歯治療へ移行します。
その他、矯正治療に伴うリスクとして、歯ブラシ不足による虫歯・歯周病、装置による違和感・痛み、口内炎、話しにくい・食べにくい、歯肉退縮、歯髄壊死、歯根吸収、顎関節症の悪化などがあります。