中学1年生の過蓋咬合の治療

動的治療前①中学1年生:過蓋咬合 出っ歯 口元の突出 口唇閉鎖不全(2023年9月2日12歳8か月)*非抜歯治療

動的治療中②使用装置:ブラケット、QH、BH、顎間ゴム
写真は中学2年生:顎間ゴムで上顎側方歯を後方(遠心)移動中、移動後上顎歯列にできた隙間を利用して上顎前歯を後方へ移動させます(2024年3月23日13歳2か月)

動的治療中③中学2年生:上顎の後方移動が終了し出っ歯と過蓋咬合が改善(2025年3月12日14歳2か月)

動的治療終了④中学3年生:動的治療終了 治療期間1y5m(2025年4月14日14歳3か月)

治療前後の口元:非抜歯で口元の突出と口唇閉鎖不全が改善し閉じやすくなりました

はじめのご相談 下の前歯の凸凹が気になる
カウンセリング・診断結果

主訴は下の前歯が気になることですが、その他、上の前歯が下の前歯をたくさん覆っている過蓋咬合と出っ歯の傾向について、口元で口唇閉鎖不全があることを説明しご理解いただいたので精密検査をしました。
*口唇閉鎖不全の改善は、顔立ちの成長が残っていれば非抜歯で治療が可能で、成長が終了している場合は抜歯治療になることが多い症状です

精密検査の結果(写真①)以下のことがわかりました。
骨格的:・上下顎骨の前後的位置関係は適正
歯並び:・上顎前歯の突出・出っ歯
    ・上顎歯列の前方位
    ・下顎前歯の凸凹
横 顔:・上下唇の突出
機能的:・口唇閉鎖不全・ストレイン
    ・低位舌
    ・下気道の狭窄

行ったご提案・診断内容

治療は歯を抜かない非抜歯治療で行うこと、永久歯に生え変わっていて年齢的にもマルチブラケット法で歯を適正な位置へ動かして治すこと、上下アーチの拡大と形態修正(写真➁:QH・BH)を行い下顎の凸凹の改善と残っている顔の成長を引き出す環境改善をすること、ブラケットと顎間ゴムで上の歯列を後方移動させて出っ歯と過蓋咬合を治すこと(写真➁③)、出っ歯の改善と残っている成長で非抜歯で口元の突出と口唇閉鎖不全が治ること(写真④)、治療後、咬み合わせを安定させるために適切なベロの位置と鼻呼吸の習得が必要なこと、動的治療期間は1年6カ月を目標にすること、動的治療後は保定期間があることを説明しご理解いただけたので以下の装置で治療を進めました。
・QH:上顎歯列の形態修正をする装置です
・BH:下顎歯列の形態修正をする装置です
・マルチブラケット:歯を動かす装置です
・顎間ゴム:補助的に使用するゴムで、歯を動かしたり、力の加減を調整します
・MFT:上記と併行して、正しい機能:適切なベロ(舌)の位置と嚥下、鼻呼吸、姿勢などの習慣付け、口唇締め付けの緩和を行います
・保定装置:動的治療後は保定装置で歯列形態や咬み合わせを維持、安定させる装置です

治療期間 1年5ヵ月(動的治療期間)
おおよその費用 咬合期治療:979,000円
治療のリスクについて 矯正治療に伴うリスクとして、歯ブラシ不足による虫歯・歯周病、装置による違和感・痛み、口内炎、話しにくい・食べにくい、歯肉退縮、歯髄壊死、歯根吸収、顎関節症の悪化などがあります。治療後適切な保定を行い経過観察が必要です。
また、治療後も舌を上顎の正しい位置に置き、口を閉じて鼻呼吸をすることを習慣づけることが必須です。
上記を行わないとスペースや歯のねじれなどが生じます。