非抜歯矯正(歯を抜かない矯正)

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歯を抜かずに矯正治療を行う方法

歯を抜かずに歯並びをきれいに整えたいという希望をお持ち方が多くいらっしゃいます。非抜歯矯正(歯を抜かずに歯並びを治す方法)での治療は、どのようにして行われるのでしょうか。

  1. 側方拡大
  2. 前方拡大
  3. 臼歯部の後方移動
  4. ストリッピング
  5. 成長期では、成長によるアーチの増幅、増長、旺盛な骨のリモデリング

上記の方法で、でこぼこを解消する隙間ができるかできないかを、精密検査で調べ、抜歯、非抜歯を検討します。

側方拡大:犬歯から後の歯をほっぺた方向に移動させます。移動させると隙間ができます。

よい歯列弓(アーチ)は卵型をしています。この症例は上下ともV字型をしていて、レントゲン的にも側方拡大するスペースがあるため、側方拡大が可能で隙間をつくることができます。

前方拡大:前歯を前へ移動させます。

前歯の動きにあわせて口元が変わります。前に出すと口元の突出感が増え後方へ移動させると突出感が減少します。
この症例の横顔は、口元の突出感をチェックする赤いライン(エステティックライン)よりも上下唇とも引っこんでいて、口唇閉鎖不全(ストレイン)もないので、前歯を出す(前方移動)ことが可能で、隙間をつくることができます。前方移動量はレントゲンの分析で決めます。

臼歯部の後方移動

犬歯より後方の歯の位置関係をチェックします。
右側は、犬歯・第一大臼歯とも上の歯に対し下の歯がいい状態よりも半分以上前方にずれています(受け口のずれ・CL.Ⅲ)。
左側は、犬歯・第一大臼歯とも上の歯に対し下の歯がいい状態よりも半分以上後方にずれています(出っ歯のずれ・CL.Ⅱ)。

右側(受け口のずれ)

左側(出っ歯っぱのずれ)

この状態からバランスの良い位置を考えていくと、上下とも前方に叢生(でこぼこ)があり、奥歯を前方に動かせないため、咬み合わせのバランスをとるために、右側は下顎臼歯部、左側は上顎臼歯部を後方へ移動させ、スペースをつくることができます。

臼歯を後方へ移動させるスペースの有無のチェックは、側面セファロ写真で行います。
可能であれば、以下のように移動させます。

ストリッピング

薄いメタルのヤスリで歯の端を削り、歯のサイズを小さくします。
歯と歯が接触する部分(歯冠)の表層は1~1.5mm程度の厚さでエナメルと呼ばれる層からできており、この層は痛みを感じないため少量のストリッピングであれば削っても問題ありません。

成長期では、成長によるアーチの増幅、増長と旺盛な骨のリモデリング

これは成長期に特有なもので、スペースづくりに有利に働きます。

永久歯が生えてくる時期は、生えかわりに伴い歯列の幅の増幅、歯列弓の増長が成長で起こります。

また、この時期は盛んに代謝している時期で、骨のリモデリングが旺盛なため動かした歯が安定しやすく、15才くらいまでに咬合治療を終了できるようにすると、拡大などでスペースを増やすことが可能となり、抜歯治療のリスクを下げることができます。