小学校高学年(小6)女子の八重歯と下の歯が見えない過蓋咬合、出っ歯を抜歯をしない治療(非抜歯治療)で改善した症例

①小学6年生:過蓋咬合・出っ歯・叢生 非抜歯治療

➁6年生:治療中 上顎の横の歯をゴムで後方へ移動させて隙間ができた状態

③中学1年生:動的治療期間 1y2m

はじめのご相談 前歯が気になる、下の歯が見えない
カウンセリング・診断結果 歯がすべて大人の歯(永久歯)に生え変わった小6の女の子です。
上の前歯が強くベロ側に傾斜しているため一見出っ歯に見えませんが、横の歯は上が前に下が後ろに下がった出っ歯で過蓋咬合、凸凹(叢生)、八重歯を伴っています。
過蓋咬合は一見よく咬んでいるように見えますが、咀嚼が苦手な咬み合わせです。
矯正治療で咬み合わせも機能(咀嚼など)も見た目も治ること、このような症例では、上の歯を後ろへ、下の歯を前に動かせられれば抜かない非抜歯治療で改善が可能なこと、できない場合は抜歯が必要な抜歯治療になることを説明し、検査を希望されたので精密検査を行いました。

精密検査の結果、骨格的に下顎骨が引っ込んでいる出っ歯で、上の前歯がベロ側に傾斜していて下顎の成長を妨げていること、下の前歯もベロ側に傾斜していること、上下とも前歯がさがっているのに伴い口元も下がっていること、その他、低位舌になっていて口唇と舌からなる筋圧中立帯(歯が並ぶ場所)のバランスが悪いことがわかり、以下のような治療を提案しました。

行ったご提案・診断内容 成長がまだ残っていて、口元も引っ込んでおり上の歯の後方移動と下の歯の前方移動も可能なため、歯を抜かないで過蓋咬合、出っ歯、叢生を改善できるので、非抜歯治療で進めることにしました。
上下の歯列形態を整え、顎間ゴムとワイヤーで上顎歯列の後方移動(写真➁)をし、筋圧中立帯のバランスが悪いことが過蓋咬合の一因となっているため、MFT・リップマッサージを併行して行い、治療後も歯列形態が安定するように計画を立案し、治療を希望されたので治療を開始しました。

装置は以下の装置で進めます。
・マルチブラケット:歯を動かす装置です
・BH:下の歯の裏側を通す装置で歯列形態を修正する装置
・顎間ゴム:上顎の遠心移動を行います
・MFT:上記と併行して、正しい機能:適切なベロ(舌)の位置と嚥下、鼻呼吸、姿勢などの習慣付けを行います
・リップマッサージ:必要以上な口唇力を軽減させます
・保定装置:動的治療後は保定装置で歯列形態や咬み合わせを維持、安定させます

治療期間 1年2ヵ月(動的治療期間)
おおよその費用 咬合期治療:94万+TAX
治療のリスクについて 矯正治療に伴うリスクとして、歯ブラシ不足による虫歯・歯周病、装置による違和感・痛み、口内炎、話しにくい・食べにくい、歯肉退縮、歯髄壊死、歯根吸収、顎関節症の悪化などがあります。治療後、適切な保定を行い経過観察が必要です。
また、治療後も舌を上顎の正しい位置に置き、口を閉じて鼻呼吸をすることを習慣づけることが必須です。
上記を行わないとスペースや歯のねじれなどが生じます。